仏心のある生活(5) 

怨憎会苦と和の精神

 およそ人間の感情の中で最も強いものは人を憎む感情だそうですが、
怨恨による殺害事件に接するたび、怨憎の前に自分を制しきれない人間の弱さ、もろさを
つくづく感じされられます。

 釈迦は「人生には八つの苦しみ(八苦)がある」と説きましたが
怨憎会苦(この世で恨みや憎しみに出会う苦しみ)もその一つです。
私達は社会に身を置き、人との交わりなしには生きて行けません。
しかし、その輪の中には必ず自分とは異なる考えがあり、感情の行き違いがついてまわります。
時には、いじめや侮辱、中傷や裏切りに遭遇し、怨憎の念が高じた果てに悲劇が生まれます。

 こうした人が織りなす悲劇の構図は釈迦の時代も今も変わりはないようです。
 一体何故でしょうか。それは、人は本来自己中心にものを考える身勝手な生き物だからです。
自分の心の部屋を居心地よくする為に嫌いなものを排除して行こうとする本能的な狭い自我があるからです。
これが不幸を招く元凶なのです。幸福の原点は、心の平安にあります。

 ところがいったんこじれた人間関係の溝は、恐ろしいほど心の平安を奪って行きます。
だから和の精神が大切なのです。つまり思いやりですが、実の思いやりとは、
自我を乗り越え相手の身にもなって考え、譲歩して行く勇気ではないでしょうか。
自我に固執し怨憎にまみれて地獄を彷徨う事は、愚かで悲しい事です。

 仏教を篤信し、ほとけの教えを実践した聖徳太子が「和をもって貴しとなす」と
人々に訴えた所以もここにあると思うのです。




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