仏心のある生活(11) 

心の時代

 

 当山檀信徒の皆様、あけましておめでとうございます。

 世紀をまたいで、60億の人々と共に21世紀を迎えました。
 新世紀のスタート台に立ち、駆け巡る思いは人それぞれでしょうが、
共通した願いはやはり戦争と貧困と犯罪のない平和な世の到来であると思います。


 20世紀は戦争の世紀でもありましたが反面、科学技術が急速に発達し、
人智の集積が一気に開花した世紀でもありました。

 そのおかげで、大量生産と大量消費の洪水の中で物は豊富に出まわり何も彼も便利になり、
生活水準は国民のほとんどが中流意識を持つまでに向上しました。


 しかしその一方で、物の溢れた豊かさの中で大きな陰りが忍びよっている事に私達は気付き始めました。
 物が豊富になればなるほど、生活が便利になればなるほど、
人は幸せになれると信じて突き進んで来た道に大きな代償が立ちはだかっていたのです。

 その一つが人心の荒廃です。

 本来、科学技術の発達は人々の幸福に貢献するものであるはずです。
にも拘らず人心が逆行してゆく矛盾を私たちはどう理解すればよいのでしょうか。

 21世紀は心の時代と言われます。
その意図は、20世紀の産物である拝金主義と人心の荒廃に
ピリオドを打たなければ私たちの未来は覚束ない、
だから今こそ心の問題に人智を結集して
人の本来の心を呼び戻す時代にしようということだと思います。 

 人の本来の心は、例えて言うなら金属の冷たさではなく、木の温もりであるはずです。

 山の樹は、お互い譲り合って繁っている、
それが自然のすごいところだと植木職の友人から聞いたことがあります。

 太陽の恵みも慈雨も分け合って共生しているのが自然(ほとけ)の姿なのです。

 人は、自分も宇宙生命の一粒子として生かされた存在であることを知り、
誰もがこの自然のすがたに溶け込んでゆく未来にしなければなりません。
ここに人知を絞り切る事が21世紀の命題であると思います。

合掌


(平成13年1月)


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