仏心のある生活(10) 

お正月を待つ」

 今年も残り少なくなりました。どちらのお宅でも、
お忙しい日々をお過ごしのことと思います。

 ご多分にもれずお寺でも様々な仕事が山積し、時間と追いかけっこをしております。
しかし、すべて仕事はきれいに片づけ、すがすがしく新年を迎えたいという気持ちが
わたしを奮い立たせます。

その気持ちは、今も子供の頃の昔も、変わりがないようです。

 私たちの子供の頃は、おしなべて貧しい時代でした。
ですから、とりわけ年の暮ともなれば、子供でも重要な家事の担い手でした。
私共も手にあかぎれをつくり、夕方暗くなるまで働かされたものです。

辛く切ない思いでした。でもそれだけに、
正月を待つ気持ちには、きらめくような夢がありました。

「お正月さえ来れば思いきり遊べる。そして御馳走が食べられる。
新しい下駄や足袋も卸してもらえて、姉が編んだセーターも着れる・・・」
それだけで夢がふくらみ、世の中が一変していくような胸のときめきがあったのです。

今はどうでしょう。物は充ち足り、さして家事を手伝わなくとも済む子供たちは幸せそうです。

でも、そんな彼らがなぜか私には不憫に思えてなりません。
せめて私は、子供たちが苦労の中で指折り数え、待つことを知ってもらおうと、
この時期には、存分仕事を与えることにしています。

今年もお世話になりました皆様、お揃いで良い年をお迎えください。         合掌  

(昭和59年 12月)

<仏心のある生活>

<トップページ>


 Copyright(c) 2012-2014 Housyuin All Rights Reserved.